結と縁結びの神様

「やっぱりまだ難しいかな?」

「うん」

「それでも良いさ。結はまだ十四歳なんだから」

「そうだね」

お父さんに微笑み返してすぐに視線を下げる

そんな私の中に浮かぶのは小さい時に出会ったあの人。

【これでもう一度あんたとあたしは会えるわよ】

その言葉が私の中で響き、軽い溜め息を吐いた私は窓の外を見つめた。

私は縁結びというものを信じていない。

縁は人と人を繋ぐ糸のようなもので、私がこれまで出会った人たちはその糸で繋がっている。

それじゃあまるで、私がこの先誰に出会うのかを神様が全部知っているようなものだ。

それはきっと神様のシナリオなのだろう。

私は縁を自分で繋げて行きたいのだ。

縁結びの神様に結ばれるんじゃなくて自分で一つ一つ結んで行きたい。

だから私が小さい頃出会ったあの神様は、私の想像上の人物だとここ最近そう解釈した。

死んだはずのたまが目の前に居るわけがない。

あれは幼かった私が作り出した存在なんだ。

「さあ、着いたぞ」

私は車の中から懐かしい家を見つめた。

「懐かしいなあ」

たまと一緒に過ごした家、たまとの思い出が詰まった家の前に私は立った。

「全然変わっていないね」

「十年前のまんまだ。結の部屋もそのまま残ってるから好きに使うといいよ」

「え、そうなの?」

てっきり片付けられたかと思っていた。

車から荷物を下ろしてくれたお父さんは扉の前に立って鍵を開ける。

「当たり前だろ? ここは結の家でもあるんだからな」

「お父さん……」

お父さんの言葉が嬉しくて泣きそうになるのを堪える。