結と縁結びの神様

☆ ★ ☆

「じゃあ、またね珠!」

「またね、小娘」

走り去っていく結の背中を見つめる。

「縁を結んでくれてありがとう……か」

そんなこと言われたの、何年ぶりだっただろうか。

『ありがとうーー!』

また、懐かしい記憶を思い出したものだ。

俺は、結に手を伸ばす。

そしてーー

「っ!」

一瞬結の姿がむすびの姿と重なった。

「小娘!」

「なに?珠」

俺の声に気づいた結が振り返る。

「あ、あれ?」

俺の目の前にいるのは、本物の結だ。

むすびの姿ではなく、結はちゃんとそこにいる。

「な、なんでもないわ!気をつけて帰りなさい」

「心配してくれてありがとう!」

結は、俺に手を振ると階段を駆け下りていった。

「……はぁ」

危なかった。

「私は、何を勘違いしてるのよ」

結は、むすびとは違う。

「まだ、囚われてるのかしら」

あの時の記憶と思いに、俺はまだ囚われているのかもしれない。

「結には、むすびと同じ道だけは通って欲しくない」

俺は拳に力を込める。

あんな思いは、もうたくさんだ!