結と縁結びの神様

「ありがとうございます。正々堂々とお互い頑張りましょう」

ヒナゲシは優しく微笑む。

なんか、最初思っていた子とだいぶ違う。

素直だし、可愛いし、とても珠思いだ。

それなのに私は……。

「それでは朝霧、最初の勝負を決めください」

「ぼ、僕からですか?」

急に話を振られた朝霧は、おろおろしながら必死に考える。

「あ、あの、その花嫁勝負は今でないといけませんか?」

「どういうこと?」

朝霧の言葉に首を傾げたヒナゲシに、朝霧は見とれる。

あ、これはもしかして。

「も、もう今日は遅いですし、次の休日じゃ駄目かなと思いまして」

朝霧は、真っ赤な顔を隠しながら応える。

その動作が可愛くて思わず抱きしめたくなる衝動にかられた。

「そうね、よく考えたらもう夜の7時じゃない」

「えっ!もうそんな時間?!」

私は慌てて部屋の時計を見る。

「やばい、お父さんが心配してる」

「私もお姉様が心配してるかもしれません。ですので、勝負は明日ということで」

「分かった」

休日ならとくに用事もないし、朝から行けば大丈夫かな?

「じゃあ、私は小娘を送ってくるから、朝霧はヒナゲシを送ってあげなさい」

「は、はい!」

どうやら珠も朝霧の気持ちには気づいているみたい。

「ほら、小娘行くわよ」

「あ、うん」

珠の後にづいて、私は部屋を出る。

「それでは結様」

「また明日」

「また明日ね、華、波留」

二人に手を振り、私は珠と一緒に人世へと向かった。

「ほら、着いたわよ」

私は、珠と一緒にさっきの場所へと帰ってきた。