結と縁結びの神様

珠はわなわなと怒りで肩を震わせると叫ぶ。

「あのねぇ!これは全部あんたのためなんだからね!」

「私のため?」

いったいどのへんが?

「それにあんたたち!全部知ってて知らないふりするんじゃないわよ!」

「えっ?!」

私は朝霧たちに目を向ける。

すると、三人は申し訳なさそうに視線をそらす。

華は鏡をみながら自分の髪型をチェックしていて、波留は庭の花に水を与えていて、朝霧は持ってきていたお菓子を口に運んでいた。

「どういうこと?」

「だから!」

「珠様」

珠の後ろでヒナゲシはゆっくりと立ち上がる。

「ひ、ヒナゲシ?」

そして、珠はゆっくり振り返る。

ヒナゲシは、怒っているのか肩を震わせていた。

それを見た珠は、背後に私をかばう。

もう、何が何なのか分かんなくなってきた。

「珠様、一つ聞いてもいいですか?」

「な、なにかしら?」

「その人は、珠様の許嫁でよろしいですか?」

「ま、まぁそんなところ」

なにそのあやふやな返答!

そこはもっとはっきりしようよ。

「では、結さん……」

ヒナゲシは、私に指をさすと瞳に涙を浮かべながら叫ぶ。