結と縁結びの神様

「あのねぇ、これにはわけがあって」

その言葉にまたカチンと来る。

「わけってなに?私に見られた言い訳?それとも、私と結婚の言い訳?」

「結婚?」

私の言葉にヒナゲシは顔をしかめる。

「し、静かにしなさい!」

「別に隠すことないんじゃない?そもそも、私は珠と結婚する気ないから」

そうよ、珠にはちゃんと好きな子がいるんだから、私と結婚しなくたっていい。

私は、ヒナゲシの方に目を向ける。

「ごめんね、驚かせて」

「い、いえ。あの、結婚ってなんですか?」

「よくわかんないけど、私の知らないところで私は珠の許嫁扱いされていたの、でも今断ったから、あなたは安心していいよ」

私の言葉に、珠は青ざめた表情を浮かべた。

でも、そんなの気にしない。

「ちょっ!ヒナゲシにはまだ説明していないのに!」

「今私がしたからいいじゃん」

珠は、私の後ろにいる朝霧たちに助けを求めるように視線を送る。

しかし、三人は私同様冷たい視線を珠に送っていた。

「あ、あんたたち!」

「珠様ひどいです!結様という存在がいながら、ヒナゲシ様と婚姻を結ぶだなんて」

華は、瞳に涙を浮かべる。

「そうですよ、珠様の一番は結様かと思っていましたのに」

波留は、声を上げて泣き始める。

「珠様、ひどいですね」

朝霧は、見下すような瞳を珠に向けていた。

「あんたたち、言わせておけば!!」