二人は困った表情を浮かべ目を合わせる。

「そうですね。神様の中でも地位欲しさに、自分の子供を早いうちから嫁や婿にだす人もいます」

「そんな……」

そんなの納得いかない!

だって、それは生まれるまえでも、生まれてきても未来が決まっているからだ。

生まれた瞬間には、嫁ぐ先や婿入りする先が決まっていて、自分の気持も無視され、親のために子供は操り人形のように行きていくだなんて。

「そんなの、おかしいよ」

珠だって、仕方なく私と結婚するんだ。

そんなの、結婚したところで虚しいだけだ。

「実は結様、私達も早いうちに神様のもとへお嫁にだされたんです」

「えっ?」

華の言葉に私は驚く。

「だって、二人はまだ幼いのに」

「私達のお父様は、神様の中でも名高いお人で、そんな子供に生まれた私たちを、周りは死ぬほど欲しがりました」

波留の声のトーンはとても低く、それは怒りや悲しみが入り混じっているのを私は感じた。

「私達と結婚できれば、お父様に顔を覚えてもらえる。お父様が死んだあとの資産は、少しでも多くこちらに入ってくる。周りは、そう考えていたんです」

華は、優しく波留の手をにぎる。

「怖くて怖くて、自分たちには自由がないんだと思ったときは、死にたいとすら思ったことがありました」

私は、こんな光景を以前にみたことがあった。

それは、あるニュースの内容だったと思う。

ある家族が、亡くなった親の資産争いで殺し合いをしたという話だ。