「二人の顔をよく見てみさない」

「顔を?」

珠に言われ私は、華と波留の両方の顔を交互に見る。

「あっ!」

よく見たら、華の右目の下には小さなほくろがある。

でも、逆に波留にはついていない。

「分かったかしら?」

「うん」

でも、これは間近で見ないと分かんなよ。

「よろしければ、こちらの方でお分かりやすくいたしましょうか?」

「ううん、大丈夫」

私は、頭を左右にふり二人に笑顔を向ける。

「間違える私がいけないんだし、二人はそのままでいいよ。それに、できる限り間違えないように頑張るから!」

私はそう意気込む。

そんな私を見た二人は、顔を合わせると嬉しそうに微笑んだ。

「やはり、珠様が選んだ御方ですね」

「珠が選んだ?」

「はい!だって結様は将来、珠様のお嫁様になられる御方なんですから」

「私たちは、それがすごく楽しみなのですよ」

「……はぃぃぃぃ?!」

なにそれ、どういうこと?!

私は、勢い良く珠に目を向ける。

しかし珠は、自分に聞くなと言うように私から視線をそらした。

「珠!ちゃんと説明してよ!!」

「そ、その話しは後よ、華、波留、今すぐ小娘をお風呂場へ」

「はい!」

「はい!」

珠の命令により、華と波留は私の体を抱き上げる。

「ちょっ!話しはまだーー」

言葉を言い終わる前に、私は華と波留によって屋敷の奥へと連れて行かれた。