あれは本当に珠だったのか……。

珠によって結ばれた縁結びは本物なのか……。

十年経った今では分からない。

『まもなく神代駅に到着いたします。お出口は右側です』

降りる駅の名前がアナウンスで流れ荷物を持って扉の前に立つ。

『神代〜神代〜』

電車の扉がゆっくりと開かれ私は駅に降り立った。

懐かしい草木の匂いがして私は大きく伸びをする。

「やっと着いた」

縁結びと珠のことを忘れつつ私は十年ぶりにこの地に帰ってきた。