よかった、珠が無事で。

そう思いながら、珠は私のそばに来る。

「珠珠うるさいわよ、ちゃんと聞こえてるから安心しなさい」

「だって、返事がなかったから」

また、珠までいなくなっちゃうのかと思っちゃって……。

私は瞳に涙をためる。

「はぁ……、まったく」

珠は、着物の袖で涙を拭ってくれた。

そう、あの時みたいに優しく

「ありがとう、珠」

「お礼はいいわよ、今はこっちの問題が優先」

珠は、服についた土を払いながらヒナゲシを見下ろす。

「珠、この子は?」

「この子はヒナゲシ、もの凄い怪力を持った蓮の妹よ」

「ええ!蓮の?!」

でも、なんで珠に飛びついてきたのかな?

それに、今は気絶しているように見える。

「さぁて、帰るわよ」

「帰るって?」

「私の家によ、そんなかっこじゃ目立ってしかたないわよ」

「え?」

よく見たら私の服にも土がついている。

いつの間に?

私は土を払いつつ珠の後ろをついていった。