「珠様ー！！」

「げっ！ヒナゲシ！」

「ヒナゲシ？」

誰のことだろう？

ヒナゲシと呼ばれた女の子は、私たちに向かって走ってくる。

その速さは尋常じゃないのか、彼女の走った後ろには土煙が上がっている。

「や、やばいわね……」

「なんで？あの子、珠に用事があるんじゃ？」

珠の方を振り返った時、私の手は珠に握らてれいた。

「ちょっ、珠？！」

そして、ヒナゲシから逃げるように走り出す。

「あっ！待ってください珠様！！」

ヒナゲシは、逃げる私達に気づくと、さらに加速し始めた。

「ね、ねぇ珠！なんで逃げるの？」

「静かにしなさい！あの子に捕まると厄介なのよ！」

「どういうこと？！」

でも、このまま逃げ切れるのだろうか？

だんだんとヒナゲシの声が近づいてきているのは気のせいなのかな？

「まったく朝霧のやつは、何をやっているのよ！」

珠は、私には聞こえない声でブツブツと何か言っていた。