結と縁結びの神様

やっぱり、珠の隣は安心できる。

さっきまで感じていた恐怖も、どこかへと去ってしまっていた。

きっとあの時だって、泣いていた私の涙が引っ込んだのは、珠の優しさに触れたからだ。

幼かった私でも、珠は優しい人だと思うことが出来たんだ。

「それにね、あんたが馬鹿なことやらかしたら、私の方にも被害が来るんだから」

「……はい?」

あれ?

なんだろう、私の中に怒りがこみ上げてきた。

私は顔を引きつらせる。

「だから、私に迷惑をかけないように」

珠が言い終わらないうちに、私は珠の足を思いっきり踏んずけた。

「いったいわよぉぉ!」

「ふんっ!安心してよ、珠に迷惑をかけるなんてこと、絶対しないから!」

珠の馬鹿……。

せっかく珠は優しい人だと思い込んでいたのに、結局は自分のためじゃない!

私は、足を抱えて飛び跳ねている珠を置いて先に進む。

「ちょっと、待ちさないよ!」

「待たない!」

珠を置いて、森の中をヅカヅカと歩いてった。