結と縁結びの神様

そこには、木に寄りかかるようにして珠が木の枝に座っていた。

それに、昨日とは少し服装が違う。

今日はちゃんとしているっていうか、正装というか。

なにかあったのかな?

「なによじろじろ見て」

珠は、私の隣に下り立つ。

「もしかして、私がイケメンすぎて見とれてた?」

「そ、そんなわけないでしょ!」

なにを急に言い出すのかと思ったら。

でも、少しは見とれていたけども。

「まぁいいわ。早く行くわよ」

「あ、うん」

珠は懐から鈴のついた鍵を取り出すと、その拍子に鈴が軽く鳴った。

「鈴?」

「ん?これのことかしら?」

私は、まじまじとその鈴を見つめた。

たしか、あの時も鈴の音が聞こえた気がしたからだ。

「小娘、これが欲しくなったの?」

「え?!別に、欲しくはないけど」

欲しくはない。

だけど、この音色を聞いていると、心が落ち着くっていうか、癒されるっていうか。

「よかったらあげるわよ」

「いいの?」

鍵から鈴を外す珠を見つめながら、私は珠から鈴を貰い受ける。

「本当にいいの?」

「いいわよ別に。ただ、鍵をなくさないために付けていたようなものだから」

そう言い珠は鍵をみつめた。

それはまるで、何かを懐かしむように……。

私は珠から貰った鈴を鞄につける。

「ありがとう、珠」

「どういたしまして」

素直に笑ってくれた珠の笑顔に、私は釘付けになる。

珠って、よく見たら本当にかっこいいと思う。

肌は色白だし、鉛筆で書いたような薄い唇。

そして、私を見つめる綺麗な黄金色の瞳。