結と縁結びの神様

☆ ★ ☆

「急がなくちゃ!」

学校が終わり、私はすぐに教室を飛び出した。

もちろん、それは早く珠に会いたかったからだ。

「あ、でもなにかお菓子とか持っていったほうがいいかな?」

走る足を止めてふとそんなことを考える。

てか、珠の好きなものってなんだろう?

「うーん……」

考えても何も思いつかない。

「まいっか、また次の機会で」

今度は珠の好きなものを聞いてから持っていくことにしよう。

そう思い私は再び駆け出した。

夏だから外の気温は高く、下手したら熱中症を起こすかもしれない。

だけど、神社の境内は木々で囲まれているから、他のところと違って涼しい。

「やっぱり、涼しいなぁ」

学校のあの中庭も涼しかったけど、やっぱりここが一番だ。

真花も誘って今度遊びに来ようかな?

そんなことを考えながら、私は珠のお墓がある方へと歩いていく。

「あれ?」

今日も花が置いてある。

昨日と同じく、お墓の前には花が飾られていた。

いったい誰が花を飾ってくれているのだろうか?

きっと、それは私がここに来るまでの間に誰かが置いてくれてるのだろう。

でも、いったいいつから?

「ちょっと、何そんなところでじっとしてるのよ」

「え?」

頭上から聞き覚えのある声が耳に届き、思わず見上げてしまった。

「た、珠?!」