学校が終わったら、真っ先に珠のところへ行こう。

そう考えていたときだった。

「ねぇ、中務さん」

「ん?」

突然隣の席の子から声をかけられた。

「中務さんは、どこから来たの?」

そして、突然質問をしてきた。

「えっと……」

当然、急に質問を投げかけられたのだから慌てる。

それに、私は隣の席の子の名前なんて知らない。

「あっ、ごめんね。自己紹介がまだだったよね!」

女の子は目の前で手を合わせて頭を下げる。

「ううん。大丈夫だよ」

「じゃあ改めて。隣の席の倉橋真花(くらはしまなか)です。よろしくね」

「うん。よろしく倉橋さん」

「呼び捨てで構わないよ。私も結って呼ぶから」

「あ、ありがとう」

急展開過ぎて頭が付いていかないけど、倉橋さん……、真花とは友達になれたみたいだ。

それに、真花の笑った笑顔はとても可愛くて好きだなと思った。

授業が終わると、案の定私の席の周りにはクラスの子たちが集まり始める。

「ねぇねぇ中務さん!部活はどうするの?」

「部活?」

クラスの内の一人にそんな質問をされて考える。

そういえば、部活のことを考えていなかった。

「よかったら演劇部に来ない?」

「演劇部に?」

演劇部かぁ……。

小学生の頃は演劇とかにはあこがれた。

でも今は、珠のことや縁結び見習いのこともあるし。

「ごめんなさい。部活には入る気ないんだ」

「そっかぁ、残念だよ」

「せっかく誘ってくれたのにごめんね」

その後も色々と質問攻めにされ、お昼になるまでろくに休憩が出来なかった。

「疲れたぁ……」

私は机に突っ伏する。

「そりゃそうだよね。ほとんどクラスのみんなと話せば」

真花は、鞄からお弁当を取り出す。

「ねぇ結、外でお昼食べない?」

「外で?」

「うん。今は夏だし、いいところがあるんだ」

私は少し考えてから真花の誘いを受けた。

お弁当を持って私たちが足を運んだのは、学校の中庭だった。