結と縁結びの神様

「あっ!」

そして、胸ぐらを掴まれて、蓮の顔がすぐ近くに来る。

「それは、全て真なんだよな?」

「は、い」

蓮の鋭い瞳が私の姿を捉えていて、私の頬に汗がつたる。

「……。よし、お前の話しは信じよう」

「ほ、本当ですか?」

「あぁ、ちゃんと人世にも帰してやる」

よかった、これで帰れる。

と、そう思ったのも束の間だった。

「だが、条件がある」

「条件?」

蓮は元の位置に座り直すと、私に指をさして叫ぶ。

「結、縁結び見習いにならないかい?」

「……はい?」

縁結び見習い?

なにそれ?

「それって、なんですか?」

「つまりだ。人間として、縁結びの神様の仕事をこなす職だ」

「……えええええ?!」

私が縁結びの仕事をするってこと?!

「そ、そんなの無理ですよ!」

だいいち、神様が行っている仕事をただの人間の私が出来るはずがない!

やり方だって知らないし。

「無理ですよ!私になんか!」

「そうか?なら、お前の身を上の方々に差し出すしかないなぁ」

「えっ?!」

「せっかくお前の話しを信じてやったところなのに、全て水の泡になってしまうぞ」

こ、この人っ!

なんて意地悪なの!

それじゃあ、私がそれを承諾しないといけないじゃない!

「それなら、見習以外にもう一つ提案してやる」

「なんですか?」

「見習いは諦めて、珠の神使にならないか?」

「神使というのは?」

「神様の世話をする存在だ」

つまり神様の雑用係って解釈していいのかな……。

それならまだ楽かもしれない。

縁結び見習いをやるよりかは……。

「だが、珠の神使は大変だぞ」

「なぜですか?」

「あいつは、ろくに縁結びの仕事をしないし、一日寝ていたり、暇さえあれば女妖と遊んでおる」

うわぁ、駄目な大人の代表だ。

いや、駄目な神様の代表だ……。