結と縁結びの神様

「ほら」

珠は、私に手を差し出す。

「……何ですかこれ?」

「私の手を握りなさいよ」

「何でですか?」

「あんたねぇ……」

珠のこめかみが再びぴくぴくと動く。

「はぐれないようにでしょ」

「子供じゃないからはぐれたりなんかしません」

「子供でしょうが!」

珠は私の手をつかむと歩き出す。

でも、帰るって言ってもいったいどうやって帰るのかな?

私の前を歩く珠は、ただ黙々と歩いていくだけ。

「ねぇ珠」

「なによ?」

「珠は縁結び会に出なくていいの?」

「私はいいのよ。第一あんなところ行ったって、私にはなんの得にもならないのよ」

得とか、そういうものなのだろうか……。

これは絶対また上の方から痛い目を合いそうだ。

「でも、出なくちゃ駄目だと思います」

「うるっさいわね、小娘には関係のないことよ」

「そうですけど」

「いいや、関係大ありだぁぁぁ!!!」

私たちの上の方から怒声みたいな声が響いた。

「こ、この声は……」

歩く足を止めた珠は恐る恐る上を見上げた。

私もつられて見上げると、そこには一人の女性が浮いていた。

「もう見つかった!」

珠は私の体を引き寄せる。

「ちょ、ちょっと珠?!」

「静かにしなさい!」

そして、羽織っていた着物で私の姿を隠すようにする。

「……」

「あんたは何も言わなくていいわよ」

珠の抱きしめる腕に力がこもる。

それに気づいた私の頬が熱くなる。

なにこれ……。

し、心臓の鼓動が早くなっていく。