結と縁結びの神様

「あれ?」

十年ぶりに来たそこは何も変わることなく、木の幹にお墓が一つぽつんとあるだけ。

でも一つだけ違うことがある。

「お花が飾られてある?」

そのお花は置かれたばかりなのか、風になびいて花びらたちはゆらゆらと揺れていた。

「誰かがお墓参りに来てるのかな?」

いったい誰だろ?

ここにたまのお墓があるのを知っているのは私くらいだし……。

お父さんとお母さんには伝えていないから二人は知らないはずだ。

あと私以外に知っているとしたら。

「縁結びの神様の……」

その名前を呟き風が私の間をすり抜けていく。

「……まさかねぇ」

私は胸の前で腕を組み自分に言い聞かせるように頷く。

「いやいや有り得ないよ。あれは私が作った幻だって。もしかしたらここの神主さんがこのお墓に気づいて、お花を置いてくれかもしれないじゃない」

うん、きっとそうだよ!

「だいたいおねぇの神様とかいないでしょ。神様ってのはこう……、もっと凛々しいっていうか、たくましいっていうかさ!」

私はしゃがみこみたまのお墓に手を合わせる。

「たまごめんね。十年もお墓参り出来なくて」

本当はずっとお墓参りに来たかった。

今でもたまは私にとって大切な存在だ。

大切な……私のお姉ちゃんだよ。

「あのね、今日は十年ぶりにこっちに帰ってきたんだ。しばらくこっちで暮らすことになったからいつでもたまに会えるよ」

もっとたまに伝えたい事があるだよ。

でも……言葉が出てこない。

「……また来るね。たま」

私は立ち上がりたまのお墓を見下ろす。

そして何も言わず踵を返そうとした時だった。

ムニュッ。

足元に何かを踏んだ感触に襲われた。

「……あれ?」

何だろうと思って見下ろすと、私の靴の下に真っ白でフワフワしたものが転がっていた。

「うわぁっ!」

私は慌てて足をどける。

「い、いたぁい……」

「し、喋った……」

私はしゃがみ込んでフワフワした生き物を凝視する。