歌いきって、俺は2人と顔を見合わせて笑った。


審査員の拍手で現実に引き戻された。


「良かったよ。この曲は誰かをイメージしたのかな?」


「はい。大切な人のために書きました。その人は弱いくせにお人好しで、自分のことは棚において僕のことを応援してくれるんです。めちゃくちゃだけど、それが俺は好きなんです。」


「・・・・・そうか。君たちは、周りに影響を与える様な歌を作るのではなく、自分の経験から作っていくタイプだね。・・・・じゃあ、結果を楽しみにしておいて。」


オーディションは終わった。


俺達は急いで有紗の元へ向かう。


帰り道、俺達はなんて話したらいいか分からなくて無言だった。


病室に向かって走る。


いつもなら怒られるとか思うけど、今はそんなの気にしてられない。


早く、有紗に会いたい。