「ありがとう、本当に。」


「でも、斗季君。それだけじゃないやろ?有紗のためでもあるんじゃないの?」


確かに、それもある。


年を明けてから有紗の病気が酷くなって、今はベッドからおりられない日が続いている。


早く俺がプロになった姿を見てほしい。


「確かにそうかな。オーディションは有紗の事考えてたら思った。夢叶えるなら何か行動しなきゃと思って。」


「そうだな。本気でやらないとこれは難しいと思うよ。」


昴はそう言うとギターを手に取った。


「ほら、今からやらなきゃ間に合わないよ。」


「ふっ、そうだな。」