私は深呼吸して、歌い出す。


みんなの音と私の声が重なり合って、響く。


私がここに立って歌ってるんだ。


目の前には朱里しかいないけど、目をつぶればたくさんのお客さん。


私の声を聞いてる。


あぁ、これが私の夢見てたことだよ。


叶ってる、叶えられた。


歌い終わると私は斗季に抱きついた。


「ありがとうっ!叶えてくれて、ありがとうっ!本当に幸せ。みんながいてくれて本当に幸せ。」


「うん。俺も有紗の歌聞けて良かった。最高のプレゼントだよ。」


そんな私達をみんなは優しく見守ってくれた。


その後、名残惜しくも解散した。


でも、みんなが片付けている間、私は寝てしまったらしく斗季が病院までおんぶしてくれた。


私は全然分からなかったけど、次の日斗季が教えてくれた。


最高の日だった。


私の夢が叶った最高の時間。


でも、


神様は意地悪だ。


私の体は年を明けると急速に悪くなっていった。