温かい絆を教えて



「あの子の名前は?」

「……」


答えずにいると、ショウタが顔を上げて視線が合う。
その表情から堅さが消え、悲しそうな表情にも、困っているような表情にもみえた。


「言えよ」

「……ミズト」

「そっか……」


フッと微笑んで、立ち上がりミズトが寝ている部屋に行き、眠っている子供の横に座り、顔を覗きこんだショウタ。
ほっぺをつついたが、ミズトは起きない。


「風呂入ってこいよ。ミズトみてるから」


暗い隣の部屋のミズトの横に座っているショウタの表情は見えない。


それでも、私から離れて何かを考えているのだろう。


話はきっとまだ終わってない。
私も頭をスッキリさせようと、浴室に向かった。