「マイカ」

優しく呼ばれて目が覚める。

既に明るい空がカーテンの隙間から見える。


「ん、ショウタ?」

唇に触れるだけのキスをされる。

「俺、前にも言ったけど、多分4月に異動になるから、それに合わせて一緒に住もう。

仕事辞めるつもりはないから、異動も受けるだろうし。
社宅が嫌なら賃貸に住んでもいい。
単身赴任はしたくない。

それから、できたら、入籍は先にしたい。
マイカの仕事はいつ辞めても構わないよ。

仕事は俺の赴任先によっては多分続けられないだろ?
なら、退職して入籍を先にして住民票を一緒にすれば後の手続きは簡単だから」

「住民票?」

「俺は住民票は実家のままだからね」

「そうなの?」

「異動が多い仕事だから、あまり変えないよ」