エレベーターを降りて、売店のある方に行こうと角を曲がった。
「あ!」
声がした方を見ると、コバヤシさんだった。
「あ、こんにちは。この前はありがとう。
連絡もありがとうございます」
驚いたように、私達を見ていたコバヤシさんが私を見て言った。
「いや、やっぱりまだ退院にならないか。
あの様子じゃしょうがないよね」
「あ。ショウタ?こちら同じ職場のコバヤシさん。こないだ病院まで、送ってもらったの。
コバヤシさん……」
「お世話になりました。
ミズトの父親です」
コバヤシさんに紹介する前に、ショウタが自分で自己紹介をした。
「あ、そうなんだ。
じゃ、キリノまたな」
「あ、はい。仕事もおやすみ頂いてすみません」
「いや、お大事にね」
コバヤシさんはニッコリして帰って行った。
売店に向かって歩いていると
「……送ってもらった?」
不審そうなショウタの声がした。
「そう。昼から帰る時にちょうどコバヤシさんも午後から半休だったから、結局ミズトを拾ってここまで送ってもらったの」
「……ふーん」
売店に着いたので、ストローのついたカフェオレを買って病室に向かった。


