ミズトが寝て、二人になってからショウタが口を開いた。
「怒ってるのか?」
「違う、考えてるのよ」
「結婚について?」
「そ、結婚について!」
「何が不安なんだ?」
「なんか色々」
「一人で考えて解決するのか?」
「……」
「じゃあ、なんで俺に言わねんだよ!」
口調とは違って、優しく抱き締めてくれる。
「一人で考えるなよ。
俺が受け止めるから」
「……新しい生活が怖いのよ。
今のままでも不自由がないし」
「俺は、いつでもお前とミズトといたいんだ。
仕事が終わったらマイカのところに帰りたい。
俺の家族って紹介したい」
「結婚したら、どうなるの?
どこに住む?」
「一緒に住むよ。
専業主婦になってもいいし、働いてもいいし、好きなようにしたらいい」
「転勤したら?」
「……一緒に来てほしい」
どこに転勤になるか、分からない仕事。
「分かってる。分かってるわ。
その覚悟ができないだけよ」
少しの沈黙の後、ショウタが言った。
「出来たら、1年後に多分転勤になるから、一緒に来てほしい。
真剣に考えてくれないか?」
「……わかったわ」
転勤になったら生活が変わるのよね、わかっているんだけどね、と心の中で呟いた。


