あたしの悪口を言っていた美鈴。


久志をいじめている美鈴。


そんな美鈴の事を、あたしは心底軽蔑する。


彼等の体の隙間から中央を覗くと、案の定久志が倒れていた。


それでも、今日は昨日ほどの暴力を受けていないのか、制服はさほど汚れていなかった。


それを確認してホッと息を吐き出す。


「これからまたお金を貸してもらおうと思うんだけど、蘭も参加する?」


美鈴にそう言われ、あたしはキッと睨み付けた。


「あたしはお金を奪ったりなんてしない」


キッパリとそう言い切ると、一瞬美鈴の表情が険しくなった。


けれど、すぐに笑顔に戻る。


「あたしだって奪ってなんてないよ。久志がくれるっていうから貰ってるだけ」


ヘラヘラと薄っぺらい笑顔を浮かべてそういう美鈴。


「本当なの?」


あたしは膝をついて久志にそう聞いた。


久志は青い顔をしたまま、肯定も否定もしなかった。


「ほら、本当だって言えよ!」


正樹が久志の腹部を蹴った。


久志が苦痛のうめき声をあげ、口から透明な唾液を滴らせる。


「ちょっと、なにすんの!」