1回忌。
改めて、あれから1年が過ぎようとしていることを知らされる。
日頃はみんな自分の忙しい生活の中、胸の中に澱んでいた悲しみが浮き上がってきたようで、言葉が少なくなる。
「孫の法要に出るとはな」
祖父母もツライのだろう。
慰める言葉を、同じ遺族は知らない。
そして、みんな同じ気持ちだからなのか、静まり返る。
「今日はありがとうございます
一年はあっという間で、唯歌も驚いているかと思います。
今日は唯歌を偲んでやってください」
父が言う。
「献杯」
全員でグラスを掲げる。
親族もやっぱり悲しんでいた。
悲しみは、癒やされない。
それでも、亡くなった姉を、彼女の気持ちを思いやる。
ようやくみんな箸をとった。


