奏でるものは~第3部~




「……別れる」

これが、ジグソーパズルのピースがピッタリ合うように、胸にしっくりくる。

「これからも会うこともあると思うし、優さんの友達もみんな会社関係で会うかもしれないけど、そこは割り切るほうが、自分らしく、生きていけそうな気がするわ」


―――お稽古も勉強も手につかず、体調すら悪くなるなら、恋愛なんて、いらない。


「優さんのこと嫌い?」

千奈美が優しく聞く。

「ううん、嫌いじゃない」

「許せない?」

美輝が聞いてきた。

「私がお稽古もできなくて、体調も悪いのが優さんのせいなら、今はいらない」

顔を見合わせた千奈美と美輝。

「そうね。前向きになれるのなら、どっちでもいい。

縁があればまた戻ることもあるかもしれないし、将来、社会人としての付き合いになるがもしれない。
それより、このあともっと素敵な出会いがあるかもしれないから。

まだまだこれからよ。」

にっこりして美輝が言った。