“絶対離さない”



彼はそう言った。

私は、まだ、本当の名前も家のことも日本舞踊や筝のことも、言えない。

言えないことがあるから、きっと深いところで信頼し合えないかもしれない。

でも少しずつ知っていくことが、付き合い始めた私達の絆の紡ぎ方なのかもしれない。


もっと一緒にいたいって思ってた。


それは紛れもなく、優さんが好き、という気持ち。

大切にしていこう


「よろしくね」

呟くように言って、離れ、顔を見合って2人で照れたように笑いあった。