後部座席の隣に座る優さんはじっと前をみていて、話しかける隙がない。
送ってくれた時と道が違うと思いながらも、何も聞けずにいると、車が止まった。
ドアを開けて優さんが降り、手招きされるまま車を降りた。
ここはどこ?
と思っていると、優さんが私の手を引き歩き出した。
海沿いの公園のようで、自販機の前で止まり、お金を入れてから
「何飲む?」
と聞かれ、温かいカフェオレを選んだ。
そのままベンチに座った。
海に向かう風が少し冷えるので腰に巻いていたパーカーを着て、温かいカフェオレを握る。
「寒いか?」
ちょっと心配そうな声。
「夜はやっぱりパーカーが要るね」
「そうか。昼は暑いくらいだけどな」
「そうですよね」
と返しながら、
――聞きたいことが沢山あったはず


