「こっち」

と呼ばれた方に顔を向けると優さんと目が合う。

優さんについていき、優さんが座った横に座る。


「花火好きか?」

「うん。年に1度、家から見える花火大会をみて、そのあと家族でするくらいだけどね。
楽しいから好き」


と言いながら、去年の夏、家族でした花火を思い出した。

毎年家族でしていた花火も、今年は姉がいない。

家ですることはもうないかもしれない。


家で花火をするときは、大きな花火大会を家の庭からみて、そのあとみんなで花火をしていた。
浴衣は日本舞踊のお稽古でよく着ているので特別感はないが、花火をするときは、キレイな浴衣でする。

母と姉と3人で選んだ浴衣を着て、去年も花火をした。


「今年は家でできるか分からないから、今日できて良かった」


思わずそう言っていた。


「そうか」


と頭をポンとされ、うん、と頷いた。

やっぱり、優さんがいると身体がソワソワする。

一緒にいると、嬉しくなる。