奏でるものは~第2部~



荷物を持ち、用意していると、水を飲んだ優さんが立ち上がり、そばに来て、優しく抱き締められた。

「俺は歌織が好きだから。
我が儘でも、なんでも、言ってくれないと、分からない。
いつも、どんなときも、好きだから。
覚えとけよ。」

頷いて、抱き締め返す。
離れたくない。
誰とも違う、言い様のない、優さんへの気持ちを考えた。

「行こうか」

優しく言った優さん。

―――大好きです

声にはならなかった。