私の手は筝の弦を押さえるため、タコができているのが常態。 触ると気付かれる、のは当たり前で、指を撫でてくれる。 お稽古のことは何も言ってないが、何かしら気づいたのだろう。 指を1本ずつ撫でて、薬指をなでてくれてたとき、予想外の言葉が、彼の口から聞こえた。 「この指の指輪は、またいつか」 左手薬指の指輪。 驚いて目を見開く。 なぜか嬉しくてどうしようもなくなる。 でも、姉の指輪を思い出して、せつなくなり、遠い約束は、しない方がいいのに、と思ったが、今は嬉しかった。 私からキスをした。