奏でるものは~第2部~



夜も両親と私の誕生日を祝うため、満腹になるまでは食べられない。

「控えめで」

と言うと、近くのカフェに入り軽食をとった。

「帰ろう」

どこに?と思ったが、そのまま歩き出す優さんについていく。
見えた先には優さんのマンション。

帰るって優さんの家に、だったんだ。
駅から近いのは、千奈美の家の近くだから当然か。

家に入ると、前に置いてあった洋菓子店の焼き菓子をだしてくれる。

「好きなんだろ?ケーキは多分家で食べるんだろうから、こっちにした。
紅茶でいいか?」

こちらを見ないで言った優さんの表情は見えないが、考えてくれたことを嬉しく思う。
しかも、紅茶を淹れてくれる。

「ありがとう」

素直に嬉しくて、笑顔で言える。

「インスタントだけどな」

私のために考えて選んでくれたことがうれしい。

紅茶を飲みながら、お菓子を食べる。

優さんも私と同じキレイなティーカップで紅茶を飲んでいるが、ちょっと意外でおもしろい。