奏でるものは~第2部~



今日8月3日、私の誕生日である。

待ち合わせは、朝の10時、家の近くの駅で、と言われていたので、久しぶりに駅まで歩く。
ブラウスに膝丈のチュールスカートとサンダルを合わせた。

駅に着くと優さんは既に、待っていた。

「もう、来てたの?お待たせしました。
どこに行く?」

「とりあえず、買い物」

と、切符を渡される。

「準備いいねぇ」

「まぁな」

「優さんのネックレス?」

首にかかってVネックのカットソーから見えかくれしているスェードネックレスのトップが気になる。

「あ?これ?」

トップを見せてくれる。

「兄貴からもらった」

ロケットのような形のトップになっている。

「なんか、かっこいいね」

「当たり前だろ?」

二の腕をちょっとつまんでひっぱり、そのまま腕を持った。

「謙譲の美徳って知ってる?」

「俺は体現してる」

プッと吹き出した。

「絶対意味間違ってるよ」

二人で笑い合う。

ちょっと触れ合うことができる幸せ。

そのまま電車で繁華街を目指した。