奏でるものは~第2部~


日曜日、昼前に映画を観にでかける。
二人はそのまま帰宅するので、出掛ける時に両親も見送りにきた。

「またゆっくり遊びにおいで」
「昨夜は楽しかったわ、いつでも来てね」

「お世話になりました。またうちにも寄ってください、お茶を淹れます」

と千奈美。

「ありがとうございました

……あの」

珍しく美輝の歯切れが悪く驚く。

父が「ん?」と先を促すと

「あ、すみません。
いや、唯歌さんの初盆のお参りに伺いたいと両親と言ってまして…よろしいですか?」

一瞬だけ、言葉に詰まったようだが

「14日から16日はいつでも大丈夫ですよ。お時間のあるときに是非とお伝えください。
ありがとう」

母が優しく言って、父が微笑んでいた。

「わかりました。ありがとうございます」

失礼します、行ってきます、と3人で玄関を出た。

「初盆に来てくれるのね?ありがとう」

「うん、迷惑かもしれないと気になってたんだ」

「私も行っていい?」

「千奈美も来てくれたらみんなうれしいよ。ありがとう」

久しぶりに電車に乗り、3人で映画を観てそれぞれの家に帰ったのは夕方だった。