そして、お昼になり。

シルディーヌは、使用人の休憩室でフリードと向かい合って食事をしていた。

別に約束をしていたわけではない。

シルディーヌが食堂に食事をとりに行くと、大勢の騎士が行き来する中にフリードの姿を見つけたから、これ幸いと引っ張ってきたのだった。

とにかく話を聞いてほしかったのだ。

アルフレッドのことを話せるのは、今のところフリードかアクトラスしかいない。

今は、朝の出来事をかいつまんで話しているところで……。


「……そしたら、アルフは、尋問を五分で済ませてきたと言うの。ものすごく怖いことを言ったと思うのだけど、実はとても簡単なお仕事だったのかしら?」

「は!? ご、五分ですか!?」


フリードは、口に運ぼうとしていた肉のソテーを、ぽとりと皿の上に落とした。


「ええ、確かにそう言ったわ。フリードさんが執務室を出て行ってから、割とすぐに戻ってきたもの」

「いやいや、待ってください、シルディーヌさん。いくら怖い言葉を並べたとしても、五分では絶対に無理ですよ。警備隊だって同じようなことを言っているはずですし、あの犯罪者は、何人もの人を殺めた凶悪な男でした。一筋縄ではいかなかったはずです。鬼神と呼ばれる団長にしかできない技ですよ」

「……そんな怖い人だったの?」