長い付き合いとも言えないが短くもない付き合いの中で
こんなにバカ笑いする高梨を見たことなくて
俺はただ、唖然としてしまった



「あー、悪い悪い
お前の恋愛初心者振りに思わずな」



一通り笑い終えたみたいで、息を整えていた
自分の事で笑われているのはわかっていたが、良い男のバカ笑いはなかなか圧巻
唖然としながらも見惚れてしまった


周りの女たちもチラチラこっちを見て頬を染めてるのも見えていた



「高梨が、そんなに笑うの初めて見たわ」


「ははっ、何感心してんだよ～～
お前の事だろ、そこ怒るとこじゃねぇの？」



そう言ってまた、少し笑うその姿は決して馬鹿にしてるとかではない


「いや、お前みたいないい男の笑う姿見ることないから怒れないわ
周りの女もお前のこと見てたぞ？」



高梨は一瞬、驚いたような表情を浮かべてはーっと大きく息を吐いた




「だから、お前は敵が少ないんだろうな」

「は？何の話だよ」


高梨はじっと俺を見てくる
急な話に訳がわからない


「お前はさきっと欲がないんだよ……
物欲とか出世欲……他人を羨ましがったり妬む事がないんだよな」

「なんだよ、それって悪口か？」

「違うよ、お前の長所だよ」



一瞬、高梨は課長の顔になった


高梨は営業部で
俺は広報部
ちなみに可憐は海外事業部
一緒の会社にいてても、あまり会うことはない
だから、高梨の課長の仕事中の顔ってみることはない