「そろそろ寝ましょう。
 美姫は今夜は私の部屋で寝てくださる?」

「姫さまっ!!」

「……いいんですか?」

うたさんがうろたえているから不安になって訊くけれど、
それに対して、困ったような表情を浮かべたうたさんは姫をチラリと見る。

すると、姫が気味悪いほどニッコリと笑い、
「いいのよ、遠慮なく使って」
と言うから、うたさんは口をつぐんでしまった。

うたさんを見ても、視線を合わせてくれない。

「……はぁ」


おそるおそる敷かれてあるふとんに入った。

夢の中でも人って寝るんだ。

っていうか、私なんで今夢見てるんだっけ。

確か研修旅行に来てて。

一生懸命思い出そうとするけれど、もやがかかったようにぼんやりとする。


そうして、いつのまにか眠っていた。