あれから数ヶ月が経って、今日は夏祭り!

そして柊とライブに出ます!

そして現在は出番直前で、あがり症のあたしは控え室で心臓が凄まじい音を立てている。

きっと、顔も引きつってるんだろうなと思っていたその時。

ポンと、誰かの手があたしの頭を撫でた。

「だだ、誰?」

びっくりして声が上ずる。

「誰はないでしょ」

その声がして慌てて振り返るとそこには。柊がいた。

そして、柊に頭を撫でられていると分かった瞬間。

さっきの緊張していた時よりもすごい音を立てる心臓。

…なんでなんだろう。

ただ、〝柊に頭を撫でられている〟というだけなのに。

それ…だけなのに…。

…コレは“恋”って分かってる、でも、分かりたくないっ…!

だから忘れなきゃ…だなぁ。

「おーい、出番直前に暗い顔すんな!俺がささえてあげるから」

…やっぱり、柊は優しい…なあ。

「そ…だね」

ツンと鼻が痛くなる。

少しずつ、少しずつ視界がボヤ〜としてくる。

そして、溢れそうとなった時。

「Brightnessの方、出番です〜!」

スタッフのお姉さんが走ってくる。

…泣いてる場合じゃないよね。

「頑張ろうぜ!」

前を向いていた柊がこっちを見て笑う。

「うん!頑張ろ!」

そうだよね!

〝あの事〟は忘れて精一杯頑張ろう。