そう言われた瞬間に私の中の何かが切れた。 「苦しむんだったら忘れた方がいい!? ふざけるな!! だったら、今一番苦しんでるのは誰? 私なんかじゃない。夏樹さん本人でしょ! 自分が一番忘れたいんでしょ!」 夏樹さんは目を見開いた。 そして、俯いて言った。 「俺は苦しんでなんかない。忘れたいわけない。だって、優樹は俺の弟なんだから。」 そう静かに言ってきた。