た、助かった……。
ホッと息をついたのもつかの間、みんながあたしの顔をぐっと覗き込んできた。
「菜生、何もされてない?」
「痛いところはありませんか?」
質問攻めに遭う。
あたしを心配する言葉ばかりで、気がついたら……
ボロボロと涙が頬に伝っていた。
それを見て戸惑うみんな。
そして余計に心配させてしまった。
「や、やっぱり何かされたのか?」
「怖い思いしたよな」
「違う。違うの……」
確かに、蛇王に連れさらわれたこと、襲われそうになったこと、ものすごく怖かった。
だけど涙が出てくるのはそういう意味じゃない。
昨日みんなにひどいこと言ったのに、変わらず接してくれるんだねって。
心配してくれるんだねって。
そう思ったから。
