*Only Princess*





「あー、くそ。まだ夏服だからブレザー持ってねぇ。わり、代わりにこれ着とけ」



肩からかけられたのはてったのワイシャツ。


あたしの姿を見て、何か着せたほうがいいと考えたんだろう。


だけどそんなことしたらてったが上半身裸に……っ!


慌てて見上げたけど、てったは中にTシャツを着ていたみたい。



てったはしゃがみ込み、あたしと目線を合わせた。


ドキッと心臓が鳴る。



「……あいつら、ボッコボコにしてくるから。ちょっとだけ待っとけ」



そう言いポンポンとあたしの頭を安心させるように撫でて、みんなと共に蛇王のやつらを殴りに行った。


てったが貸してくれたワイシャツをぎゅっと握りしめる。


ほんのりと、洗剤の香りと甘い香り、そしてちょっぴり汗の匂いがした。


急いできてくれたんだね。ありがと。


あたしは戦うみんなに目を向けた。


あたしのために戦ってくれてるその姿は。

まるで気高くカッコイイ白い鷹のようだった。



その姿を目に焼き付けたあと、あたしは意識を手放した──。