「じゃ、これ借りるな」
「え、あっ……!」
リーダー格が手にしているのはあたしのスマホ。
きっと、意識を失ってるときに奪われたんだ。
もちろん、手は縛られてるし周りには男たちがいるから身動きできない。
「うーん、誰にかけようか……って、霧山のしかねぇじゃん」
そうだよ。
てったとしか連絡先交換してないもん。
そういえばあたしたち、連絡先すら交換してなかったね。
ま、当たり前だよね。
あたしが避けてたようなもんなんだから。
って、今はそんなの考えてる場合じゃない。
体に這い回る男たちの手。
気持ち悪すぎて、でもどうすることもできなくて。
そうしているうちにリーダー格はてったに電話をかける……前に、てったから電話がかかってきた。
スピーカーにしているのか、てったの声が聞こえてきた。
