*Only Princess*





もうあたし、どうすればいいんだろう?


どうしたいんだろう?


自分のことなのに、自分が一番わかってない。


すると頭に浮かんだ1人の友達。


一番に信頼してて、一番にあたしのことをわかってくれてる人。


気づけばあたしは家とは反対方向に駆け出していた。



「ハァ……ハァ……」



あたしは1軒の家の前で息を整えた。


ゆっくりインターフォンに手を伸ばす。



────ピンポーン♪

軽快な音が家に鳴り響く。


しばらくしたらパタパタと駆けるスリッパの音が聞こえてきた。


ガチャッとドアが開いたと同時に顔を出したのは美紗のお母さん。



「はーい、どちら様ですか?……あ、菜生ちゃん」



そう、あたしが来たのは美紗の家だった。


何度も来たことがあって、美紗のお母さんとも顔を合わせたことがある。