「タカト……っ」
名前を呟いたとき、再び背中を押された。
そしてタカトの顔が見えた。
泣いてはいなかった。
でも目に涙が浮かんでいた。
「……行けよっ。そんで2度と戻ってくんな」
「……っ」
辛いこと言わせちゃってごめんね。
でもこれだけは言わせて。
「ありがとうっ……!」
精一杯の感謝の言葉。
どういう意味を含めた感謝の言葉か、あたしもよくわからない。
だけど言わなきゃいけないと思った。
言わずにはいられなかった。
全力の笑顔で、精一杯の感謝を君に。
あたしはタカトを……3人を背に、駆け出した。
幹部室を出て、ドアが閉まる瞬間。
「なんで”ありがとう”なんだよ、バァーカ」
震える声が聞こえた。
