みんなはあたしに何か言うと思いきや、あたしの顔をちらっと見て微笑んで前を向いた。
「すいません。どうぞ、補講を始めてください」
「お、おう……」
先生も生徒も、そしてあたしも少し動揺しながらも、補講が始まった。
補講が終わった瞬間、みんなからどう逃げようか。
そればっかり考えていたら、当然だけど集中できなかった。
だから先生に当てられてることすら気づかなかった。
「……村! 高村!」
「え、あ、はいっ」
「問2、お前答えてみろ」
「え"っ」
教科書とにらめっこし、一応頭の中で考えてみたけど……わかんない。
うぅ……先生、怖い顔で見てるし。
sinとかcosって、わからないんだよね〜……。
αとβっていう記号も出てきてるし、意味わかんないっ。
