「そんな自分を責めるな。俺は、好きでお前を守ったんだからな」
「え……でもっ」
「いいから、言うこと聞けよ」
有無を言わせない声色。
「俺はお前が好きだから守った。男が好きなやつを守るのは当然なんだよ」
「タカト……」
こんな状況なのに、ストレートな言葉にあたしの胸はキュンと小さく音を立てた。
だからって、そう言ってくれたとしてもあたしは自分を許せない。
そんな簡単に許せることじゃないよ。
「……何をすればいい?」
「え?」
「許してくれとは言わない。でも、何か少しでも力になりたい。あたしは何をすればいい……?」
尋ねると、タカトは間を置いてゆっくり答えた。
「朱雀の姫になってほしい。──菜生に傍にいてほしい」
ずっと言われ続けていた言葉。
いつもなら容赦なく断っていた。
でも今は……。
目を瞑ると、白鷹のみんなの笑顔がすぐに浮かんでくる。
……ごめんなさい、みんな。
あたしは今から、みんなを裏切ります。
ずっと白鷹の姫だって、傍にいるって約束、破っちゃうね。
本当に、ごめんなさい……。
