「菜生はケガ、大丈夫なのかよ」
「あ、うん。あたしは全然大丈夫だよ」
「そうか……よかったな」
「タカトが守ってくれたおかげだよ。ありがとう」
「いや……突き飛ばしちまったけどな」
あのときタカトが助けてくれなかったら、最悪あたしはここにいないかもしれない。
「……って、あたしのことはどうでもいいの。タカトは? タカトは本当に大丈夫なの……?」
「あー……んー……」
歯切れの悪いタカト。
しばらく腕を組んでいて、何か迷っているようだったけど、決めたようだった。
急に布団をめくった。
そこには……包帯でぐるぐる巻きにされた右足があった。
胸にヒヤッと冷たいものが走った。
「え……それって」
「もう使えないかもってさ。損傷がひどくてな」
「う、そ……」
ズシン、と頭に衝撃が起きた。
……そうだ、事故のとき痛そうに足を押さえていた。
でもこんなにひどい傷を負っていたなんて……っ。
ぐるぐると現実が頭の中で回る。
