*Only Princess*





すると、あたしがドアに引き開ける前に、ドアが開かれた。


そこには目を見開いて驚くお母さんがいた。



「菜生……! あんた、起きて大丈夫なの!?」


「う、うん……全然なんともないよ」


「本当? 痛いとこ、本当にない?」



ビタッと頬に手を当てられ、気持ち悪いくらい見られた。


あ、今気づいたけど、おでこケガしてたんだ。

ガーゼが貼ってある。


他にも擦り傷は何ヶ所かあるけど、大きなケガは何もない。



「菜生が事故に巻き込まれて意識失ったって聞いて、ものすごく心配したのよ。ちゃんと気をつけなさいよ……」


「……うん、ごめんなさい」


「でも無事で、本当によかった」



うっすら涙を浮かべて微笑むお母さんを見て、あたしは言葉を発することができなかった。


こんなに心配してくれたんだ。


あたしが眠っている間、きっと不安な気持ちでいっぱいだったんだろう。


本当、ちゃんと気をつけなきゃ。