*Only Princess*









夢を見た。


不思議で、とても怖い夢。


暗闇の中であたしと、少し離れたところに白鷹のみんながいる。



「菜生」



あたしの名前を優しく呼ぶてった。


あたしは笑顔になって、みんなのところへ駆け寄ろうとしたけど、まるで鎖に繋がれたように足が動かない。


え、なんで……?

今すぐにみんなのところに行きたいのに。


足を動かせなくて困っていると、再びてったが声をかけてきた。



「菜生。お前の好きなほうを選べ。白鷹か朱雀、どっちと一緒にいたいのか……」


「え……?」



な、に言ってるの?

意味がわからないよ。



「俺らはお前を苦しめてまで傍にいさせたくないからな。菜生が自分で選べ」



選べだなんて、そんなの白鷹を選ぶに決まってるじゃん。


そんな当たり前のこと、なんで……。


呆然と立ち尽くすあたし。


そうしている間に、てったたちはくるりと体の向きを変え、歩き出した。


……怖いくらい優しい笑みを残して。



「……じゃあな、菜生」



”待ってよ!!”

そう叫びたくても、声が出てくれない。


引き止めたいのに、今すぐ駆け寄りたいのにっ……!


あたしが一緒にいたいのは、白鷹だけだよ…!


……思いは届かず、みんなの後ろ姿は暗闇に消えていった──。